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会長コメント

第50回定時総会 森会長挨拶

2012/05/28

第50回定時総会の開会にあたりまして、一言ご挨拶をさせていただきます。
みなさまには、日頃から関経連の活動にご理解とご協力を賜っており、誠にありがとうございます。関経連会長としてこれから2年目にはいりますが、みなさまには、引き続き、多大なるご支援を賜りますようお願い申し上げます。
関西電力では、この夏、15%以上の節電のお願いをさせていただいております。昨年の夏と冬に続き、みなさまには大変なご不便とご迷惑をお掛けすることとなり、誠に申し訳ございませんが、この場をお借りしまして、節電にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
こうした状況から一刻も早く脱却するべく、電力の需給安定に向け全力を尽くしてまいる所存でありますが、需給安定の鍵となりますのは、原子力発電所の再稼動であります。今後も引き続き、徹底的な安全対策を行うことで、世界最高水準の安全性を確保し、立地地域をはじめ国民のみなさまのご不安の解消と信頼の回復に全力を尽くしてまいる所存でございます。
さて、昨年度は、わが国にとりまして、また関西にとりまして、大変困難な1年でありました。東日本大震災をはじめ、欧州債務危機に伴う世界経済の混乱、タイの大洪水に伴うサプライチェーンの寸断など、わが国の経済や社会は、かつてないほどの試練に直面し、関経連といたしましても、難しい対応を迫られる局面が多かったように思います。
関経連ではこの1年間、関西の活性化とともに、関西から日本の再生を先導するための取り組みを重ねてまいりました。
被災地の復旧・復興支援では、ボランティアの派遣や東北産品の購買活動の他に、関西に避難してこられた被災者と関経連会員企業との雇用マッチングなどに取り組みました。
また昨年末には、「関西イノベーション国際戦略総合特区」の指定を勝ち取ることができました。現在は、特区の制度を最大限活用して、関西からイノベーションや 新産業を次々と創出するための取り組みを進めているところであります。
さらに関西にとっての長年の懸案でありました「うめきたⅡ期」の開発につきましては、先月の松井大阪府知事、橋下大阪市長との会談におきまして、関経連が提案した開発案をもとに、現実的な協議を進めることで合意いたしました。
この他にも、空港や道路といった物流ネットワーク機能の強化、分権改革の推進、アジア諸国との関係強化などに取り組み、一定の成果をあげることができました。みなさまのご協力の賜物であり、改めて、厚く御礼申し上げます。
今年度は、昨年度の成果や反省を踏まえて、関経連の活動をさらに進化させたいと考えております。私といたしましては、引き続き、会長就任時から申し上げております「実行」に軸足を置きまして、関経連自身の手で目標を「実現」することを目指したいと思います。
関経連では2008年に、「関西ビジョン2020」を取りまとめました。2020年時点で目指すべき地域の「ありたき姿」といたしまして、「アジアでも有数の『多様性・ 活力』に満ちた関西」、「最先端の『技術・創造力』で世界をリードする関西」、そして「『自立・地域力』アップでわが国の変革を先導する関西」の3つを定めたものであります。
2008年から現在まで、震災をはじめ多くの環境変化がありましたが、関経連といたしましては、この「ありたき姿」を目指す方針は不変であります。逆に、関西に対して日本再生の先導が強く期待されている今、この「ありたき姿」の実現を、より確かなものにする必要があると考えております。
そこで今回、「ありたき姿」の実現に向けて、3年後である2014年度までの中期目標を策定いたしました。「震災復興」、「新しい国づくり」、「競争力強化」、「人・ ビジネスの吸引力強化」の4本柱であり、2020年に向けた実行計画を、より明確にしたものであります。
さらに、PDCAサイクルをしっかり回して、常に活動を進化させてまいります。関経連といたしましては、「関西ビジョン2020」を確実に実現するために、これから着実に実行を積み重ねたいと思っております。
その第一歩となる今年度は、被災地を支える「復旧・復興支援」、災害に強い国づくりに向けた「セキュリティの向上」、関西が日本経済を力強く牽引するための「国際戦略総合特区」の3点に、重点的に取り組んでまいります。
まず「復旧・復興支援」につきましては、これまでの取り組みを継続するとともに、被災地の実情やニーズをしっかり踏まえた活動を展開してまいります。
特に現在は、被災地の雇用創出につながる支援が強く求められております。先月開催いたしました「東日本大震災復興支援シンポジウム」では、東北大学とともに、これからの東北を担う地元の若手経営者を育成する「関西起業塾」を開講することを合意いたしました。この他にも、被災地の産業の再生や新産業の創出に向けた支援を、早急に検討いたします。
次に「セキュリティの向上」につきましては、震災時の混乱に鑑みて、東京一極集中の是正を急ぐ必要があると考えております。またその際には、関西が首都機能の受け皿として大きな役割を果たすべきであると考えております。
震災から1年以上が経過し、首都中枢機能のバックアップが必要だという総論は、中央でも概ね合意が得られつつあると思います。そこで今年度は、セキュリティの向上に向けた特別委員会を立ち上げます。関西広域連合としっかり連携して、法制度の整備など、政府の決断や具体的な実行を促してまいります。
そして「国際戦略総合特区」につきましては、特区の指定によって得られる補助金や税の優遇、規制緩和といったメリットを、何倍にもして国にお返しするくらいの意気込みを持って、イノベーションや新産業の創出に取り組んでまいります。
特区事業の成否は、イノベーションや新産業のシーズを持つ企業に、どれだけ多く参加してもらえるかにかかっています。また今後は、いかに各拠点が連携して相乗効果を生み出すかが重要となります。
関経連では、特区事業の事務局として求心力やコーディネート力を発揮し、関西の競争力強化に向けた最大限の貢献をしたいと考えております。私自身も、特区の地域協議会の会長として、全力を尽くす決意であります。会員のみなさまにおかれましても、ぜひともプレイヤーとして、特区事業にご参加いただきますようお願いいたします。
その他、3つの重点事業以外にも、うめきた開発、リニア新幹線の東京・大阪間同時開業、新関空会社の競争力向上など、重要な課題は目白押しでございます。「うめきた」につきましては、専門委員会を立ち上げることとしており、みなさまとともに力を合わせて、精一杯取り組みたいと思っております。
さらに、社会保障と税の一体改革や、エネルギー政策のありかたなど、政府に対して言うべきことは、しっかりと主張いたします。政策提言につきまして、「相手に伝えて終わり」ではなく「政策の実現」をしっかりと目標に据えて、関経連ならではの「迫力」や「説得力」を持ったものとしたいと考えております。
ここまで今年度の関経連の取り組みを申し上げましたが、これらをしっかり実現するためには、会員のみなさまのご協力が不可欠であります。みなさまには、それぞれのお立場で磨き上げられた「知恵」と「実行力」を持って、ぜひとも関経連の活動に積極的にご参加いただきますようお願いいたします。
また、他の経済団体や行政との協力を深めることも重要であります。関経連とは違った強みを持っておられる団体とのコミュニケーションを密にして、ともに「関西のため、日本のため」に協力できることを探り、これまで以上に連携を深めてまいりたいと考えております。関係するみなさまには、ぜひとも関経連との連携を前向きに考えていただきますようお願いいたします。
最後になりますが、昨年の会長就任時に私は、「関西・日本の再生と発展に尽くすという関経連の原点に立ち返ること」、「関西だけでなく日本全体のことを考えること」、「実行を重視し、効果を挙げるまでやり抜くこと」という3点を申し上げました。その時の思いは、今でも変わっておりません。
関経連の会長として2年目の節目を迎えました今、関西から日本の再生を先導するために、「実行」と「実現」にこだわるということを、改めて宣言させていただきます。
関経連は、「実行のための議論」を重ね、「議論したことは必ず実行」し、「実現するまでやり抜く」経済団体でありたいと強く思っております。私はその先頭に立つ決意と覚悟であり、事務局もそのために全力を尽くします。
会員のみなさまにおかれましては、「実行する関経連」、「実現する関経連」に対しまして、多大なご協力を賜りますことをお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。