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Kansai D&I News
2026.4.28 企業の取り組み最前線

南海沿線に国際色溢れる魅力的な街を
――NANKAI

NANKAI 事業戦略本部 事業開発部 林秀樹さん

NANKAI 事業戦略本部 事業開発部
林 秀樹 氏

NANKAIでは、沿線に多様性あふれる魅力的な街を築くことをめざし、外国人共生プロジェクトや外国人材紹介・定着支援サービスに取り組んでいる。事業戦略本部事業開発部の林秀樹さんに、取り組みの背景や現状を聞いた。

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――NANKAIで外国人共生プロジェクトや外国人材紹介・定着支援サービスに取り組む背景と目的をお教えください。

 NANKAIグループは、2050年にあるべき企業像を「沿線への誇りを礎に、関西にダイバーシティを築く事業家集団」としています。当社沿線地域の人口は2050年までに日本全体の平均以上に減っていくという推計が出ており、沿線の人口維持は当社の経営に大きく関わる問題です。沿線には関西国際空港があり、外国人にも人気の観光都市・難波や、世界遺産のある高野山や堺などを有し、「国際性」は当沿線の特色の一つです。日本人の人口減少を食い止めるのが難しい一方、国内に住む外国人の方は増えていくだろうと予測されます。そのなかで、外国人の方に選ばれ、かつ、外国人との共生が価値になり、日本人にも選ばれるようなまちづくりを進めることが、当社の歩む道だという方針を背景に、外国人との共生をめざすまちづくりのプロジェクトや、海外人材紹介事業「Japal(ジャパール)」の取り組みを進めています。

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――海外人材紹介・定着支援サービス「Japal(ジャパール)」、外国人共生プロジェクトでの特徴的な取り組み内容をお教えください。

 「Japal」は、ネパールの理系人材(IT /CAD人材)を日本企業に紹介する、有料職業紹介事業です。日本企業の求人条件に合うネパール人のキャリア人材を紹介し、web面接を経て採用が決まった人は、半年間日本語や日本文化・ビジネスマナー等を学んで来日します。航空券の手配、ビザや住民票等の手続き、日本での住居探しといった部分も当社が行います。日本人を採用する場合とあまり変わらない労力で外国人材を採用できるところが特徴で、初めて外国人材を採用する企業にも利用しやすいサービスを実現しました。また採用後も、一年間の定着支援サービスを提供しており、ネパール人材側・日本企業側双方からの相談に乗って対応するほか、ネパール人材の日本語能力向上もサポートします。来日時の日本語レベルは日本語能力N4程度ですが、N3へのレベルアップをめざすオンライン日本語教育も、プログラムに含めています。

 南海沿線での「外国人共生プロジェクト」では、ハード・ソフト両面から、日本人にも外国人にも暮らしやすいサステナブルなまちづくりを進めています。一つが「食」をキーワードとした取り組みです。金剛駅周辺にネパール人の居住者が増えていることを受け、当社グループが運営する金剛駅の商業施設にネパール食材店舗を誘致しました。自国の食材が手に入ることでネパールの人に喜ばれるだけでなく、日本人との交流の場にもなっています。食をテーマに定期的にイベントを開催するなど、沿線の外国人・日本人の相互理解が進むような取り組みを行っています。

――「Japal(ジャパール)」はネパール人材の採用に向けた情報を充実させていますが、その狙いをお教えください。

 ネパールは中国とインドに挟まれた内陸国で、ロジスティクスの面から製造業が発展しづらく、国の成長戦略としては観光とIT に力を入れています。小学校から英語教育にも力を入れているので英語を話せる人が多く、英語圏の国からのIT業務の請負が活発に行われている状況ですが、IT人材が能力を発揮できる職場が国内に少ないことが社会課題です。一方、日本では2030年には79万人のIT人材が不足するとも言われ、多くの企業が採用に課題を抱えています。優秀なIT人材がたくさんいるけれど職場がないネパールと、優秀なIT人材を採りたいけれど採れない日本企業。これをマッチングさせることは双方の社会課題解決にもつながるというところに着目し、2021年にグループ会社で「Japal」を立ち上げ、2022年にNANKAI直営の事業となりました。

 IT能力と英語力を備えているネパール人材は、グローバルに事業を展開する日本企業にとっては魅力的な人材です。また、初めて外国人材を採用する企業にとっては文化・宗教などの違いも不安材料となりがちですが、ネパールの人々は和を重んじ協調性が高い国民性と言われ、日本に親和性がある点も、一つの魅力といえます。

――取り組みを進めるうえで、苦労した点をお教えください。

 日本企業の、外国人材採用に対する不安をどう払拭するかというのが最も難しい点であり、このビジネスを成長させる上での最重要課題だという認識で現在も取り組んでいます。「特定のスキルがあれば国籍は関係ない」というケースはごくわずかです。多くの企業にとって外国人材採用は未知の領域であり、当然、不安も抱えていらっしゃいます。私たちはその不安を払拭して「一緒にチャレンジしませんか」と働きかけ、企業のニーズを掘り起こして解決策を提案していきます。

 不安の中で最も大きいのは、やはり日本語能力です。N2以上を求める企業も多く、N4では厳しいという声もいただきます。ただ、私たちの紹介実績では人材に対して90%以上の満足度をいただいており、N4でも「外国人材を採用してよかった」と思える状況をつくれていると自負しています。

――取り組みの成果をどのようにみていらっしゃいますか?

 「Japal」の立ち上げから約5年間で、およそ150名のネパール人材を日本企業に紹介し、沿線企業を中心に活躍しています。企業へのアンケートでは、人材に対する満足度は90%以上、採用プロセスに関する満足度も90%以上という回答をいただいており、私たちのサービスが企業様の成長に、優秀な海外人材採用という手段で貢献できているのかなと思います。

 ネパール人材側の満足度も非常に高いです。私たちがご紹介している人材は、日本への永住希望者がほとんどで、家族を連れてきて腰を据えようという方も多くいます。英語ができる人材なのでアメリカやオーストラリアといった選択肢もある中、日本を選ぶポイントは、やはり安全性です。家族とともに永住する上での暮らしやすさが評価されています。

 鉄道会社の事業においては、沿線に住んでいただく、選んでいただくことが大切ですが、どこに住むかというお客様の選択にダイレクトに関わることはなかなかできません。その中で「Japal」の事業は、これから日本に住む外国人の方に直接関われる面でユニークさもあります。採用・定着のプロセスに関わることで、少しでも沿線の人口増加に役立てているならうれしいです。

 この5年でネパール人材をご紹介した企業の9割は、初めて外国人材採用に挑戦された企業です。そこからさらに次のステップへ進んでおられる企業もいらっしゃいます。企業の成長戦略の中に、外国人高度人材採用という選択肢を入れていただければうれしいですし、私たちは定着支援まで含めて伴走させていただきます。Japalの挑戦は、まだ始まったばかりです。私たちは単なる就労支援ではなく、「人材の日本での暮らしに寄り添うサービス」をめざし、真の共生社会の実現に貢献していきたいと考えています。

参考:文中でご紹介している『Japal』については、こちらから詳細をご覧いただけます。
Japal(ジャパール)|NANKAIのIT/CAD海外人材紹介・定着支援サービス