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Kansai D&I News
2026.5.29 企業の取り組み最前線

キャリアオーナーシップ確立を支援し 多様な人財が活躍できる組織を
――グンゼ

グンゼ 人事総務部 人財開発室 女性活躍推進事務局 飯村 麻里子さん

グンゼ
人事総務部 人財開発室
女性活躍推進事務局

飯村 麻里子さん

グンゼ 人事総務部 人財開発室 室長 岸田 洋一さん

グンゼ
人事総務部 人財開発室
室長

岸田 洋一さん

グンゼでは、多様な人財がやりがいを持って働くことができる組織をめざし、女性リーダー層の育成に向けたGLSL(グンゼリーダーシップスクール・レディス)研修などの取り組みを進めてきた。グンゼでの女性活躍推進の取り組みについて、人事総務部 人財開発室 室長 岸田洋一さん、女性活躍推進事務局 飯村麻里子さんに話を聞いた。

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――グンゼのD&Iの基本的な考え方とGLSL(グンゼリーダーシップスクール・レディス)研修開始の背景をお教えください。

岸田グンゼのD&Iの取り組みの背景には、創業の精神である「人間尊重」「優良品の生産」「共存共栄」の3つがあります。これは130年の歴史の中で常に重要視しつづけてきたもので、社長はじめとする経営層も、創業の精神がD&Iの考え方に通じるという認識を持っています。

飯村GLSLは、女性社員が自律的なキャリアイメージを醸成し、参加者が組織の中でリーダーシップを発揮することを目的とした研修です。2021年頃のグンゼの女性管理職比率は約3%、当時の製造業全体の女性管理職比率6.4%と比較しても低く、取り組みが不可欠な状況でした。以前からあった階層別研修の一つに加える形で2022年にGLSLをスタートしました。

 2025年4月には女性活躍推進事務局が発足し、「多様な人財がやりがいを持って働くことができる組織」というゴールを設定。中期経営計画では2030年度末までに女性管理職比率20%以上という目標を設定していますが、最終的には30%以上をめざしていきたいと考えています。女性活躍推進事務局の発足と同時に、女性活躍について部門ごとの課題把握や施策の検討を行うため、各事業部門の管理課長をリーダーとした「なでしこプロジェクト」もスタートしました。男女を問わないメンバーから構成され、人財開発室、経営戦略室、人財尊重室などが関わり、女性役員等から助言も受けながら、さまざまな取り組みを進めています。

――GLSL研修の具体的な取り組み内容をお聞かせください。

飯村GLSLは、入社4年目以降の社員を対象に希望者を募り、全4日間の研修を行うものです。2024年度からは一般職も対象に加え、過去4年間で80名が受講しました。20代後半から50代後半までと幅広い年齢層が参加しています。研修では、まず自身のキャリアデザインを描くことから始め、ライフイベントも含めて考える中で、どんなキャリアを歩みたいのかイメージを膨らませてもらいます。その上でロジカルコミュニケーションやアサーティブコミュニケーション、リーダーシップ等について学び、最後はグループに分かれてテーマを決め、学んだことを生かして課題解決策を考え、発表してもらいます。この研修は、リーダーシップを学んでそれぞれの自律的キャリア確立に役立ててもらうためのものです。管理職育成を目的とはしていませんが、受講者の中には管理職をめざしたいという人も出てきており、実際に管理職になった人が3名います。

――経営層の意識改革に向けた具体的な取り組み内容をお聞かせください。

飯村2024年10月に、経営幹部や管理職を対象に女性活躍推進フォーラムを実施しました。女性活躍をテーマにゲストの先生に講演していただき、トップからのメッセージも出しました。まだまだ課題はありますが、意識が変わるきっかけにはなったかと思います。社内の体制としては2025年に女性活躍推進事務局ができて、取り組みを進めやすくなりました。

 経営層に限らず、女性活躍推進の意識や風土醸成は一朝一夕には進まないところがあります。なかなか前進しない原因は、さまざまな問題が「自分ごと」になっていないからではないかと思います。女性活躍推進は、女性だけの問題ではなく、組織全体の成長と革新をめざす重要な取り組みであると従業員皆が自分ごととして考え、行動につなげていけるような施策を考えていきたいです。

――女性活躍への取り組みを進めたことによる社内の変化をお教えください。

飯村GLSLの参加者からは「キャリアを考えるきっかけになった」「自分のキャリア像が明確になった」といった声が聞かれるほか、「管理職をめざしたい」という人も出てきており、研修が意識の変化にもつながっていると感じます。社内の変化としては、初めて女性が管理職に就いた部署で、契約社員から正社員、一般職から総合職といった形で女性の登用やコース転換が増えるなどの例も見られます。

 世の中の風潮も後押ししてか、男性の育休取得率は上がっており8割程度が取得しています。働き方については、コロナ渦をきっかけに進んだテレワークやフレックス勤務が多くの部署で定着しています。

――女性活躍への取り組みについて、現在の課題と今後力を入れていきたいことをお教えください。

飯村GLSLはこの4年間である程度の役割は終えたと考えており、今期からは別の形での研修を予定しています。これまでのプロジェクトのなかで女性管理職候補者も出てきており、候補者に向けた研修や教育に力を入れていきます。また、これまでは管理職の登用審査等においてジェンダーギャップの解消を図る取り組みができていなかったので、必ず女性を2割以上にするといった数値目標も設定していきます。会社全体で管理職のポスト数は減ってきているものの、現在の管理職が高齢化していくなか、人財不足が懸念されます。リーダー層の早期育成は人事制度の中でも進めていくことになっています。

岸田今期、25年ぶりに人事制度が大きく刷新されますが、そのコンセプトの1つが早期登用です。管理職希望で資質のある人については、研修などを通じて登用に必要な要件を早めに満たせるようサポートしていきます。その中で、研修受講者の女性比率20%以上をめざします。継続することによって、管理職登用者に占める女性比率も、2030年度末までに少なくとも20%以上にしていきたいという考えです。

――今後D&Iで力を入れていきたいことをお聞かせください。

岸田海外勤務経験のある役員は、当時、部下の管理職は全員女性で、定時で仕事を終えるために生産性を上げることに集中していたと言います。日本ではなぜそれができないのか。そういった問題意識を持つ役員を中心にD&Iの意識は高まりつつあり、今回の人事評価制度の見直しにもつながっています。新しい人事制度では、これまでの成果・業績を重視した評価から、行動面を重視した評価に変わります。これまでは昇級や昇格にあたっては半期ごとの成績が重視されてきましたが、新制度では、中長期的に見て組織の成長に資する行動・取り組みができているのかといった点も重視されるようになります。また、管理職は「多様性の受容」「協調共生」「チャレンジ」の3点から行動評価されます。これらは、先述の創業の精神から落とし込んだD&Iの考えに通じる要素を、評価項目に取り入れた形になっています。

 当社の創業の精神や企業文化は、D&Iや女性活躍推進と親和性が高いものです。今後もその点を意識しながら個々の施策を展開することで、意識や行動の変化につながっていくと考えています。