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女性が活躍できる職域の拡大
~営業部門をケーススタディとした
要因分析から~

企業・管理職・女性それぞれの
制度運用上のポイント・工夫

女性が活躍できる職域を拡大するため、職種の中から「営業部門」をケーススタディとして要因分析を行い、制度運用上のポイントや工夫例を紹介する。

特に今回は、「営業部門で女性が活躍しにくい」という課題に対し、「女性」という属性から生じる要因(例:女性は営業に馴染まない等)ではなく、「就業上の制約」という視点から営業部門における女性の活躍を阻む要因(例:育児などにより時間制約がある等)を整理した上で、企業・管理職・女性それぞれの「制度運用上のポイント・工夫」をまとめている。

POINT
  • 取り組みにあたっては管理職だけでなく、企業が体制の整備、女性が働き方を工夫することが肝要。
  • ヒアリングをもとに企業・管理職・女性それぞれが留意すべき「営業部門で女性が活躍するための制度運用上のポイント・工夫」を体制整備・多様な営業スタイル・目標・評価の明示とコミュニケーションの3つの項目に分けて取りまとめている。

営業部門における
女性の活躍を阻む主な要因

  • 営業部⾨における⼥性の活躍を阻む主な要因として、①営業慣⾏‧顧客対応、②時間外業務、③社内の意識、④ロールモデルがいないという4点がある。

営業部門における女性の活躍の実態を把握するため、会員企業の女性活躍推進担当者、ならびに営業部門の女性(部長職~一般社員)16名にヒアリングを実施したところ、育児介護などのライフイベントに起因する「時間制約」を抱える営業部門の女性が、①営業慣行・顧客対応、②時間外業務、③社内の意識、④ロールモデルがいない、の4つの要因により、個々人の営業スタイルを発揮して活躍することが難しいケースが多く見られた。

一般的に、この4つの要因のうち、②③④は営業部門の女性に限らず、他の職種にもあてはまる要因だと考えられるが、ヒアリング結果を詳細にみると、営業部門ならではの要因である①営業慣行・顧客対応が、②時間外業務や③社内の意識に大きく影響を与え、結果的に、④ロールモデルがいない状態を作り出している関係性が明らかになった。
そのため、これらの営業部門における活躍を阻む要因を解消するための取り組み・工夫が必要となる。

企業・管理職・女性
それぞれの取り組みの必要性

企業においてダイバーシティを進めるにあたっては中⻑期的に利益につながること、すなわちダイバーシティの推進が企業の競争⼒の源泉となることが求められる。

管理職にとっては、業績管理⽅針の中で、⻑時間労働の抑制や育児等で時間制約のある⼥性の活⽤を求められることが、⼤きな負担となり得る。そのため、企業には時間制約のある社員がいながら、管理職が業績⽬標を達成できる体制を整えるなどの取り組みが必要となる。また、⼥性⾃⾝も「時間制約がある中で営業をすることは難しい」という固定観念を払拭し、社内制度等を活⽤しながら働き⽅を⼯夫することが肝要である。

活躍を阻む要因解消に向けて
必要な取り組みと企業事例

01

時間制約があっても柔軟に
対応できる体制整備
~女性が就業継続できる土台を作る=モチベーションを下げない~

  • 各種支援制度を整備するとともに、不測の事態に対応できる体制を整えることで、「時間制約がある」働き方でも柔軟に働き続けられる土台をつくる。

必要な取り組み

営業部門で「時間に制約がある働き方」をする女性が就業継続するためには、まず急な顧客からの呼び出しといった不測の事態に対応できるような制度整備、取り組み・体制づくりを進める必要がある。

企業は、営業部門で女性が就業継続できない要因を把握・分析した上で、制度等を整備することが求められる。

管理職は、「営業部門ではこの制度は利用できない」と考えるのではなく、女性が制度を利用するよう促すとともに、不測の事態に対応できる体制を整えることが肝要である。

このように企業と管理職が「女性が就業継続するための土台」を作ることで、営業部門で女性のモチベーションが低下することなく働き続けることができる。

女性には、制度・取り組み・体制をふまえ、既存の営業スタイルに捉われず、自分の能力を発揮できる営業スタイルを考え、積極的に実践していただきたい。

本取り組みによる改善効果
要因
改善効果
顧客対応
時間に制約があっても、制度を活用して顧客とやり取りすることができる
社内の意識
体制が整備されることで、時間制約があればバックヤードにまわるべきという意識から、時間制約があっても顧客対応ができるという意識に変わる
時間外業務
急な時間外業務に他の担当者が対応する、もしくはベビーシッター等外部サポートを得て自身が対応するなど、仕事と家庭を両立できる
制度の整備・拡充

企業

取り組み

時間制約があっても柔軟に対応できる制度を整えるとともに、 取り組み 制度の周知・利用促進をはかる

【具体例】

営業部門で女性が両立できない要因をヒアリングし、制度等を整備する。

女性の声
  • フレキシブルなスライド勤務の導入、リモート接客ツールの導入。【卸売・小売業】
  • 発注のシステムなど出社しないとできない業務、資料作成等がある。【製造業】
  • コロナ禍でリモートなどが増え、本当に必要な出張のみになり、生活が改善された。リモートが進み、子育て中でも働きやすい環境になっていると感じる。【製造業】

管理職

取り組み

制度の周知・利用促進をはかる

【具体例】
  • 「営業部門ではこの制度は利用できない」ではなく、女性が就業継続できるよう制度を利用した働き方を一緒に検討する。
女性の声
  • 会社は子育て世代に対するさまざまな制度を整えているが、それを女性の声 実際につかえるかどうかは上司、部署の方針や雰囲気による。【製造業】
体制の整備

企業

取り組み

各部門に、不測の事態に複数人で対応できる体制の検討を促す

【具体例】

営業部門における不測の事態に備え、複数人体制の整備や、急な顧客対応の際の対応方法等のマニュアルの整備を促す。

女性の声
  • 時短勤務時に「顧客対応を任せない」のではなく、キャリアステージを阻害しない体制を整えるべき。【不動産業、物品賃貸業】
  • 不測の事態に備え複数人体制、急な顧客呼び出しの際の対応方法等のマニュアルの整備などバックアップ体制を整える。そのひな形をつくり職場内ですりあわせて形にすることが必要。【卸売業・小売業】
  • その人でなければダメという仕事があることは組織としていけないのではないか。【不動産業、物品賃貸業】

管理職

取り組み

時間制約があっても働き続けられる体制をつくる

【具体例】
  • 不測の事態に複数人が対応できるよう標準化(マニュアルの作成等)を進め、担当者が不在時でも対応できるような体制を整える。
  • 時間制約のある人を考慮し、会議時間等を設定する。
女性の声
  • 復帰する際、上司から先輩とペアで担当案件に取り組むという提案があった。この仕組みのおかげでやりがいをもって仕事に取り組むことができた。【製造業】
  • 顧客に対して担当が1人であれば長時間にならざるをえない。【製造業】
  • 会議が多い部署だったが、自身が保育所のお迎えで18時には退社しないといけなかった。会議が長引きそうなときは上司が「○○さんの関係する議題は早くしよう」と声をかける配慮をしてくれた。【不動産業】

女性

取り組み

制度や体制をふまえ、自分の能力を発揮できる営業スタイルを考え、実践する

営業部門で効果的だと考えられる制度事例

フルフレックスタイム
  • コアタイムを廃止し、それぞれの業務にあわせてより柔軟な働き方を実現する。
女性の声
  • 子供のお迎えがネックになっており、お迎え後に仕事をしたいという声も聞く。労働時間管理が難しいとは思うが、家事時間・育児時間など中抜けができる制度があればよいのでは。【製造業】
営業車両での保育所送迎
  • 保育所送迎の時間ロスを解消するため、送迎に営業車を利用できるようにする。
  • 送迎時間の制約が解消されることで、営業時間の確保が可能。本人の負担も軽減される。
女性の声
  • 子供の送迎込みでの直行直帰など、フレキシブルな働き方の整備が必要。【製造業】

営業視点の+α活用例を交えた社内制度・取り組み活用例

ベビーシッター費用補助
  • 残業や出張・病児への対応の際にベビーシッターサービスを利用した場合、会社がその費用の一部または全額を補助する。 等

営業部門は他の部門に比べて顧客対応等突発的な対応や出張等が多い。

活用例

顧客対応の際の費用補助の増額

  • 顧客対応による残業や出張が発生する場合は、ベビーシッター費用補助の金額を増額する。
女性の声
  • ベビーシッター代を補助する制度などがあれば、仕事に集中できるのでは。【製造業】
02

多様な営業スタイルの
受け入れ・実践
~女性が就業継続できる土台を作る=モチベーションを下げない~

  • 多様な営業スタイルを周囲が受け入れ、女性が実践することで、「時間に制約がある働き方」であっても自らの営業スタイルを発揮して活躍することができる。

必要な取り組み

営業部門で女性が就業継続するためには、制度や体制の整備とあわせて「多様な営業スタイルの受け入れ・実践」により、個々人にあわせた営業スタイルを確立させることが重要となる。

企業は、ビジネスタイム内での会食の推進や、時間制約のある中での営業スタイルを共有する場を提供する取り組み、顧客からの過度な要求やハラスメントから社員を守る体制を整備することなどが求められる。

管理職は、女性が実践する多様な営業スタイルを受け入れることが必要である。
このように企業と管理職が「女性が就業継続するための土台」を作ることで、営業部門で女性がモチベーションを低下させることなく働き続けることができる。

女性には、既存の営業スタイルに捉われず、自分の能力を発揮できる営業スタイルを考え、積極的に実践していただきたい。

本取り組みによる改善効果
要因
改善効果
顧客対応
個々人の営業の仕方に応じて、柔軟に顧客に対応することができる
社内の意識
一律に「足を運ぶ」、「接待や会食を積極的に行う」考えが変わることで、時間制約があっても顧客対応ができるという意識に変わる
時間外業務
オンライン営業の推進等営業の仕方を工夫することで時間外業務を減らすことができる
多様な営業スタイルの受け入れ・実践

企業

取り組み
  • 顧客へのアプローチや対応の工夫など、他の女性の営業スタイルを知る場をつくる
  • ビジネスタイム内での会食や接待を推奨する
【具体例】
  • 営業の勉強会を開催し、他部門や他社の営業の工夫を勉強する機会を与える。
  • 夜の会食だけでなく、朝や昼等ビジネスタイム内の会食を推奨する。
女性の声
  • 顧客対応、コミュニケーション、アプローチの工夫についてはパターンを知ることが重要。それに関してはロールモデルがいない、少ないので社外とのネットワーク構築が重要。【卸売業・小売業】
  • ビジネスタイム内の会食を啓発してほしい。一足飛びに夜の会食を否定するわけではなく、時代に即した方法(昼食時に実施等)の提案が必要。【卸売業・小売業】
  • 接待の会食、ゴルフなどが管理職になると増えると感じており、配偶者の理解の度合いによってはそういった部分がネックになり管理職を目指すことが難しいと感じる人もいるのでは。 【製造業】

管理職

取り組み

自部門の女性が実践する多様な営業スタイルや工夫を受け入れる

【具体例】
  • 一律に、「足を運ぶ」、「接待や会食を積極的に行う」ではなく、多様な営業の仕方(オンラインやメールでの情報提供等)を推進し、担当者にある程度営業の仕方を任せる。
女性の声
  • 営業の醍醐味は数字の目標に対して、自分のやり方でアプローチできること。会食の参加の有無や営業先へ足を運ぶ頻度等は営業担当者自身が考えるべきである。【卸売業・小売業】
  • 上司が会食を好む、会食をしないと数字がとれないという考えだとやりづらい部分がある。【卸売業・小売業】
  • 営業慣行を無意識に踏襲している人(「ゴルフできないのか残念やな。」など)の“ゴルフができない=営業の仕事ができない”という無意識の営業慣行への考えを改める必要がある。【卸売業・小売業】

女性

取り組み

自分の能力を発揮できる営業スタイルを考え、実践する

【具体例】
  • 制約を乗り越える工夫や自分の能力を発揮できる営業スタイルを考え、実践する
顧客対応

企業

取り組み

顧客からの過度な要求やハラスメントから社員を守る体制を整える

【具体例】
  • 顧客からのハラスメントに対してコンプライアンスのルールを設定する。また、コンプライアンスのルールを社員に周知し、いつでも相談できる体制を整える。
女性の声
  • 「夜すぐにこい」など過度な要求をする顧客は、ハラスメントにあたるので会社として対応するなど、コンプライアンスのラインを設定し、社内に啓発することが必要。【卸売業・小売業】

営業視点の+α活用例を交えた社内制度・取り組み活用例

育児休職中・育児休職復帰後懇親会
  • 育児休職者や育休復帰者を対象に懇親会を開催し、職場復帰への不安や両立の悩みを解消する講演などを実施する。

顧客対応などの営業ならではの不安への対処は、全社的なネットワークではなく、営業部門の女性同士でネットワークを持つことで解決の糸口が見つかりやすい。

活用例

営業部門の女性の育児休職中・育児休職復帰後懇親会

  • 営業部門でどのように仕事と家庭を両立しているのか、時間制約がある中での顧客対応等、営業の工夫の仕方を知る。
女性の声
  • 顧客対応、コミュニケーション、アプローチの工夫についてはパターンを知ることが重要。それに関してはロールモデルが少ないのでネットワーク構築が重要。【卸売業・小売業】

営業女性の工夫の仕方(女性営業職へのヒアリングから)

  • 飲み会、ゴルフに行かないかわりに、自販機の置いている休憩コーナーなどでコーヒーを飲みながら話しかけるなど、工夫をしていた。接待でなく仕事の時間だけでも距離を詰めることはできる。うまい間合いの詰め方を自分なりに模索していた。【情報通信業】
  • 会食は必要なものに絞って参加している。【卸売業・小売業】
  • 夜の会食の代わりにランチミーティングを提案していた。 【不動産業、物品賃貸業】
  • 現場に足を運ぶこと自体の意義も確かにある。足を運ぶことで構築する人間関係は重要。しかし、平日の朝だけ、夕方だけ等、自分が行ける時間の中で可能な限り足を運ぶことの積み重ねで関係を構築することは可能。 工夫次第でやりようはある。【情報通信業】
  • 自分のペースに顧客を引き込んである程度調整する。わがままを言っているように感じて言いづらい人もいると思うが、自分にしかない能力、ノウハウを最大限活用するために要求することは要求する。こうした強い気持ちが重要だと思う。【製造業】
03

目標・評価の明示と
コミュニケーションの活性化
~キャリアアップを目指す+仕事が楽しい=モチベーション向上~

  • 個々のキャリアステージやライフステージに応じた仕事を与えるとともに、目標・評価を明示する。特に仕事を与える際に意図などを伝えることで、社員のモチベーションを維持し、キャリア意識向上につなげる。

本取り組みについては、コロナ禍でテレワークが増え、定量的な目標設定や評価基準が求められていることにも寄与する。

必要な取り組み

営業部門におけるモチベーションの維持やキャリア意識向上には、「目標や評価基準の明示とコミュニケーションの活性化」により、会社にどのようなことを期待され、どのような目標に向け業務を遂行するかを社員自身が認識することが重要である。

企業は、管理職とその部下である女性が明確な目標、評価基準についての共通認識を持てるよう、各部門の業務に応じた評価基準の設定や、コミュニケーション機会創出のために体制や制度を整備し、管理職や女性へ働きかけることが求められる。
管理職は、女性に対し過剰な配慮や固定観念を無くし、個々のキャリアステージやライフステージに応じた業務配分を検討するとともに、仕事を与える際にコミュニケーションを積極的にとることが必要である。あわせて、その意図や背景とともに本人への期待を伝えることがモチベーション維持やキャリア意欲向上につながる。

女性には、管理職と話した業務内容をふまえ、達成するためにどのような働き方が必要か検討した上で、社員や家族とコミュニケーションをとり、時間制約がある中でも目標に向け必要な働き方ができるように取り組んでいただきたい。

本取り組みによる改善効果
要因
改善効果
顧客対応
コミュニケーションをとることで、「時間制約」があっても、各自の状況に応じて顧客対応を任される
社内の意識
コミュニケーションをとることで、「育児復帰後だから顧客対応を任せない」等、一律的な過剰配慮がなくなる
目標・評価の明示

企業

取り組み

目標・評価の明示ができるよう管理職や女性に働きかける

【具体例】
  • 全社共通の評価基準に、各部門の業務に応じた評価基準を加える。
  • 各部門独自の評価基準が集まれば、その内容を集約して各部門に配布し、評価基準を策定する際の参考にしてもらう。
女性の声
  • 全社的な評価シートはあるが、全部署にあてはまるようになっているため、どのように頑張ったら評価されるかがわからない。部署によって目標等が違うはずなので、業務に落とし込んだ評価基準を作成するべき。【不動産業・物品賃貸業】

管理職

取り組み

個々のキャリアステージやライフステージに応じて個人の力が発揮できるよう目標の設定や業務内容を検討する

【具体例】
  • あらゆる数字を用いて評価指標(KPI)を設定する。
  • 個々に応じて定量的に目標設定するとともに、仕事内容を明確化する。
女性の声
  • 今までふんわりとした評価だったのが、上司が変わりあらゆる数字を使って評価指標を設定するようになった。それにより社員のモチベーションが上がった。【不動産業・物品賃貸業】
コミュニケーションの活性化

企業

取り組み

個々のキャリアステージやライフステージに応じた業務配分ができるようコミュニケーション機会創出のための体制や制度を整備する

【具体例】
  • 各管理職の裁量等によりコミュニケーションの質や量に大きな差が生じないよう、面談を制度化する。
  • 面談の際には共通のヒアリングシートを用い、聞き漏れのないようにする。
女性の声
  • モチベーション維持に向けてはチーム内でのコミュニケーション向上と上長との面談機会の増加が必要。【卸売業・小売業】
  • 働き方、キャリアへの意識は個人差が大きい。そこのヒアリングが重要に感じる。【製造業】

管理職

取り組み

過剰な配慮、固定観念を無くし、業務配分を検討する際や、仕事を与える際にコミュニケーションを積極的にとる

【具体例】
  • 面談等を通じ部下の状況をヒアリングした上で、業務内容を検討する。
  • 業務配分を伝える際には、その意図や背景とともに本人への期待を伝え、モチベーション維持やキャリア意欲向上につなげる。
  • 評価をフィードバックする。
女性の声
  • 上司が「育休復帰後だから」と配慮をするのではなく、フラットに「自分がどうしたいか」を聞いてくれる人であれば営業最前線に復帰しやすい。【情報通信業】
  • 成果のフィードバックを本人にしっかり伝え、平等に理解・評価されていることを理解してもらうことが必要。【不動産業・物品賃貸業】
  • 上司からの「復職時には子育ての経験を活かした仕事を任せたい」という言葉がモチベーションにつながった。 【不動産業・物品賃貸業】

女性

取り組み

社員や家族とコミュニケーションをとり、目標達成のために必要な働き方ができるよう体制を整える

【具体例】
  • 管理職と話した目標を達成するために必要な働き方(出張の頻度等)を検討した上で、家族や外部サービスによるサポートを得る。
  • 周りの社員に自身のプライベートな状況を伝えるとともに、業務内容を共有し、急な不在時の対応などをあらかじめお願いしておくことで、他の担当者が不測事態に対応できるようにする。
女性の声
  • 目標数値が明確化されれば、目標数値達成のために必要な業務(長期の海外出張等)がわかり、事前に家族に子供の面倒を見てもらうなど対応ができる。【卸売業・小売業】
  • 配偶者と曜日を決めて送迎、食事の分担をし、一方に負担がかからないよう工夫。上席への説明と理解を得ることも大事。【金融業・保険業】

営業視点の+α活用例を交えた社内制度・取り組み活用例

産休前・復帰前支援面談
  • 休職前と復職前に本人・上司・人事部の3者面談を実施。
  • 面談シートを用い、家族のサポート体制や日々の育児オペレーション・病時対応、キャリアプラン等について確認をしている。

営業部門においては顧客対応等のための出張など営業ならではの業務が存在する。

活用例

共通のヒアリングシートに、営業に特化した設問を追加する

  • 項目例:時間制約によって影響のある、営業ならではの業務(時間外業務・出張・会食・ 急な顧客対応等)
女性の声
  • 復帰時点で働き方のすり合わせがされないまま業務分担が決められており、本当は出張ができるのに、上司が「出張はできない」と決めつけてしまっているため、出張が必要な顧客の担当から外れている。

営業女性の工夫の仕方(女性営業職へのヒアリングから)

  • 出産、育休からの復帰後、時間に制約のある働き方をまわりに知ってもらうことが重要と考え、周囲やお客様に対しても子供がいるということ、定時後の打ち合わせの依頼や急な問い合わせへの回答が難しいことをさりげなく伝え、理解促進をした。【製造業】

ダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けた
顧客(購買)側の多様な営業スタイルの受け入れ

  • 営業部門で時間制約がある女性が活躍するには顧客(購買)側も多様な営業スタイルを受け入れていくことが必要。
  • 多様な営業スタイルが浸透することで、さまざまな背景を持つ人々が営業の能力や意欲があれば働き続けることができ、結果として社会全体のダイバーシティ推進につながる。

活躍を阻む要因解消に向けて必要な取り組みの1つとして「多様な営業スタイルの受け入れ・実践」を取り上げた。しかし、多様な営業スタイルを実践するには、自社(サプライヤー)の取り組みだけでは限界がある。コロナ禍で加速した新しい働き方を見据え、生産性を高めるためには顧客(購買)側も多様な営業スタイルを受け入れる柔軟さが求められる。

多様な営業スタイルを自社(サプライヤー)・顧客(購買)双方が受け入れることで、時間制約等により従来の営業スタイルでの就業継続に課題のあった社員が多様な営業スタイルを駆使し、就業継続することができる。前述の「顧客対応」・「時間外業務」・「社内の意識」などの課題解決を後押しするとともに、社会全体としての人材確保にもつながると考えている。さらに、顧客(購買)側にとっても、オンラインでの商談を通じ、従来直接やりとりをすることのなかった設計・技術担当者等から新たな情報を得られるなどといったメリットも期待できる。

企業が個人のさまざまな状況や背景に応じた働き方を整備し多様な営業スタイルが浸透することで、女性に限らず介護や病気と両立しながら働く人など、さまざまな背景をもつ人々が営業の能力や意欲があれば働き続けることができ、結果として社会全体のD&I推進につながると考えている。

本ページは、「女性活躍推進検討チーム」での議論をふまえ、作成したものである。

女性活躍推進検討チーム

設置目的

男性管理職の意識改革に資する方策およびトップコミットメントを現場へ浸透させる 方策について検討を深め、 当会での女性活躍推進の取り組みとして発信する。 その他、 関経連における女性活躍推進に関する取り組みについて、 検討する。

期間

2018年12月~2020年12月

主査

同志社大学 社会学部 准教授 寺井 基博

メンバー(順不同)

株式会社アシックス
グンゼ株式会社
株式会社高島屋
岩谷産業株式会社
住友電気工業株式会社
東洋紡株式会社
西日本旅客鉄道株式会社
日本製鉄株式会社
三菱商事株式会社
レンゴー株式会社
ダイキン工業株式会社
西日本電信電話株式会社
日立造船株式会社
株式会社ロイヤルホテル