会長コメント

2024年春季労使交渉にあたってのお願い

2024.01.22
公益社団法人関西経済連合会
会長  松 本 正 義



   

 2024 年春季労使交渉に向けて、当会では、わが国の賃金水準や足もとの物価動向などの状況を踏まえ、賃上げに対する「基本的な考え方」を取りまとめました。それぞれの労働条件は各社の業績等を考慮し個別の労使間で協議・決定される事項であるとの原則のもと、各社での検討の際には是非、以下の点を考慮いただき、前年を上回る対応を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

<2024年春季労使交渉に向けての基本的な考え方>

 2023 年の春季労使交渉は賃上げの大きな流れを生み出す転換点となりました。しかし、その後も実質賃金のマイナス基調は続いており、このまま個人消費の減退により景気の腰折れを引き起こす懸念もあります。わが国経済が、再び停滞期に逆戻りするか、「成長と分配の好循環」の定着により賃金と物価が適度に上昇する安定的な経済へ移行を果たすかの岐路に立つ今、物価上昇に負けない「構造的な賃金引上げ」の実現が鍵となり、2024 年は極めて重要な年になると思われます。
 このような認識のもと、2024 年の春季労使交渉に向けて、企業の社会的責務としての強い決意をもって「前年を上回る賃上げの実施」を強く呼びかけたいと思います。多様な方法・手段の中から自社の実情に適した賃上げの方策をご検討いただく際、物価上昇が続く現状を鑑みれば、制度昇給に加えてベースアップの実施が有力な選択肢となり、業績変動への対応は賞与や一時金に反映することも一案だと考えます。
 加えて、わが国全体の「構造的な賃金引上げ」の実現には、働き手の7割近くを雇用する中小企業への波及が大きな課題です。中小企業の賃上げ原資の確保・増大に向け、原材料費やエネルギー価格だけでなく、運送費に加え、内閣官房および公正取引委員会が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえ、労務費・人件費の増加分の価格への転嫁を積極的に進めていくことが必要です。パートナーシップ構築宣言への参画拡大と実効性の確保に向けて、特に、発注者としての企業の果たすべき役割が大きく、会員各社のさらなるご理解・ご協力をお願いします。
 当会では、かねてよりマルチステークホルダー主義に基づく経営の重要性を主張してきました。生産性の改善・向上や適正な価格転嫁等による収益の拡大を原資に賃上げを行い、個人消費が喚起・拡大され、適度の物価上昇が続き、収益がさらに拡大する。 中期的な視点では、こうした「構造的な賃金引上げ」と「成長と分配の好循環」の実現を図り中核的な働き手である「中間層の活力向上」につなげていくことが、企業に求められる方向性だと考えます。

以  上