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会長コメント

第49回定時総会 森会長就任挨拶

2011/05/25

ただ今みなさまのご推挙により、関西経済連合会の会長にご選任いただきました。
東日本大震災という未曾有の国難に直面している中で大役を仰せつかり、責任の重さを感じているところです。微力ながら、関西のため、日本のために精一杯尽くしてまいりますので、みなさまのご支援を心からお願い申し上げます。
前任の下妻会長は、リーマン・ショックを経てわが国経済が次々と大きな困難に直面する中、強力なリーダーシップを発揮して、われわれを先導していただきました。
「環境先進地域・関西」、「アジアとの共生」など関西が進むべき道筋は、2008年に取りまとめられた「関西ビジョン2020」で明確にされたものです。関経連と関西経営者協会の統合など、経済界の改革にも取り組んでいただきました。
今震災に際しても、いち早く関西が被災地や日本を支える決意を表明され、震災復興対策特別委員会を立ち上げて復旧・復興に着手されるなど、まさに関西のリーダーとして的確な対応をとってこられました。
これから、下妻会長が築き上げられた路線を引き継いで、さらに発展させていきます。下妻会長には、今後もご指導賜りますようお願い申し上げます。
さて振り返ってみますと関経連は、戦争の爪跡が未だ残る昭和21年10月、戦災からの復興を目指して設立され、その後の関西、日本の目覚しい発展を先導してきました。
諸先輩方のこうした歴史を継ぐわれわれとしては、震災に直面している今こそ、関経連の原点に立ち返り、被災地のため、日本のために力を発揮する時だと思っています。
また、天皇皇后両陛下が被災地を訪問された際の、被災者の心に寄り添ったお姿やお言葉に深く感激し、復興への心を強くした方も多いと思います。こうした両陛下がお示しになった日本人の心、われわれが継いできた思いやりの精神についても、震災に立ち向かう力にかえて、取り組みたいと思います。
東日本の経済活動に支障をきたしている中、西日本全体で東日本を支えていかなければなりませんが、とりわけ関西は、阪神・淡路大震災から復興した経験を生かすことができます。
そして何よりも関西は、16年前の被災時に日本中・世界中から支えていただいたことを忘れていません。今回は関西が中心となって、被災地の声を拝聴した上で、優先順位をつけ、スピード感を持って取り組みます。
すでに震災復興対策特別委員会では、他団体と連携して復興に向けた第一次提言を出し、被災地の視察や現地との意見交換も行っています。
さらに西日本経済協議会では、西経協震災復興支援本部を設置して、復旧・復興に向けた提言や、東北産品の販売促進をする「BUY東北運動」などを進めています。
これらをさらに深めて、サプライチェーンの混乱収束や風評被害対策、外国人の呼び戻しといった復旧に取り組みます。その後の復興では、新しい国づくりに向けた提言とともに、関経連自身も担い手として汗をかきたいと思っています。
一方、グローバル化や新興国の台頭が著しい中、関西・日本の競争力を高めることも不可欠です。震災対応と並行して、イノベーション促進や地域の魅力づくりなどにも、しっかり取り組みます。
TPPなど競争条件の整備、グローバル人材の育成、関空のハブ機能の強化、道路のミッシング・リンク解消、梅北のナレッジキャピタル推進、関西広域連合の「関西産業ビジョン」への積極的な働きかけなど、ひとつひとつを着実に進めていきます。
なおこれらは、「関西のため」だけでなく、「日本のため」という目線で実践し、政府の復興ビジョンとも連動して、新しい国づくりのお役に立ちたいと思います。
ここまで申し上げた項目は、言うだけに終わらせずにしっかりと実現すること、効果をあげるまでやり抜くことが重要であり、そのためには独自の強みや特色を持った他団体との協力が不可欠です。
「地域や国の発展のために」という志を同じくする商工会議所、同友会などとともにオール関西の力を結集して、政策実現のための実行力を高めたいと思っており、今後関経連から働きかけて、連携を深める場を設けます。
さらに、アジア太平洋研究所、太平洋人材交流センター、大阪科学技術センターなどの機関ともしっかり連携して、より大きな効果をあげてまいります。
冒頭で「関経連の原点に立ち返る」と申し上げましたが、そのためには、全ての企業の総意を体現することが不可欠だと思っています。
具体的には、中堅・中小企業により幅広く参加しやすくし、会員や地域のみなさまの声をつぶさに集めて、これまで以上にそれを形にできる関経連となるよう、方策を検討いたします。
最後に、かつて孔子は、人間が生来持っている真心とそこから出る思いやりを「忠恕」と表しました。わが国は、幾多の困難を克服しその度に強さと輝きを増してきた国でありますが、それを支えたのは、日本人が大切にしてきた「忠恕」の心に他ならないと思います。
これから私は、被災者、東日本の方々に心を寄せながら、力の限り日本のために取り組む決意です。会員のみなさまにも、是非ともご支援賜りますことを重ねてお願い申し上げまして、就任の挨拶といたします。