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会長コメント

第55回定時総会 松本会長就任挨拶

2017/05/29


 ただ今みなさまのご推挙により、関西経済連合会の会長に選任いただきました。
 わが国経済が引き続き大きな課題に直面し、世界の政治経済も時代を画するような変動要因を抱えているこの時期に大役を仰せつかり、重責を感じているところでありますが、これまでお世話になってまいりました関西に、少しでも恩返しができればと考え、引き受けさせていただきました。関西のため、日本のために、微力ながら全力を尽くしてまいる所存でありますので、みなさまのご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
 前任の森会長は、6年前、東日本大震災から間もない時期に着任され、復興支援に全力で当たられました。さらに中期目標をもって関西の将来について大きな方向性を示され、関西空港のコンセッション、関西イノベーション国際戦略総合特区や国家戦略特区、観光でのインバウンド拡大、リニア中央新幹線の開業前倒しや北陸新幹線延伸、そして、万博誘致への取り組みなど、関西の今後の発展に大きな足跡を残されました。森会長が築きあげられた路線を引き継ぎ、さらに発展させて参る所存であります。
 さて関経連は、昨年記念すべき創立70周年を迎えたわけでありますが、振り返ってみますと戦争の爪跡が未だ残る昭和21年10月、戦災からの復興を目指し、産業人の自由なる創意と活溌なる活動を促進する機関として設立され、その後の関西、日本の目覚しい発展を先導してまいりました。企業は地域、社会、人々の繁栄発展のために貢献するという使命を担っているわけでありますが、関西には長寿企業が多く、江戸時代以来地域の発展に主導的な力を発揮してきたという伝統があります。また、常に新しいことに取り組む、新進の気風を諸先輩方が築きあげてこられました。このような基盤の上に立つ関経連として、関西、ひいては日本の発展に向けてのリード役となるような積極的役割を果たしてまいります。
 関西の現状を見ますと、わが国経済の中で関西のウエイトが相対的に低下してきているという厳しい現実があります。一方で、明るい側面としては、インバウンド観光客の増加により関連する産業が活況を呈しております。また、関西空港、けいはんな学研都市など、過去に関経連が取り組んだプロジェクトが大きな力を発揮しはじめています。さらに、医療健康分野などで関西から新しい技術の芽が次々と生まれています。
 こうした中、まずは現行の中期目標を基とした取組をさらに強化してまいりますが、その際に以下の4つの視点を重視したいと考えております。
 はじめに「グローバリゼーション」の視点です。メガリージョンというかけ声の下で関西独自の魅力が埋没するようなことにならないよう、グローバルな視点で関西の強みをいかに磨き、アピールするかが大事であると思われます。その際、東京との比較で関西のあり方を論ずるよりも、むしろ、関西がアジア太平洋地域をはじめとする世界といかに結びつきを強め、世界での存在感を高めるか、いわば「ルック・ウエスト」「ルック・グローバル」の視点が求められていると感じております。
 「地方創生」の視点では、関経連は長年、地方分権・道州制というテーマに取り組んできました。現在、人口減少が急速に進む中で地方のあり方が改めて問われておりますが、地域の個性が自由に発揮され、地域の活性化に結びつくような仕組みを目指し、わが国での地方分権の流れが定着・進化するよう、これからも積極的に意見交換、提言を行ってまいりたいと考えます。
 「イノベーション」の視点では、既に関西にはものづくりのしっかりとした基盤がありますが、他方でわれわれを取り巻く事業環境はIoT、AIなど新たな技術の流れもあり、激動期を迎えています。次の時代の関西の発展を支える新産業育成が必要であり、特定の一つの産業に依存するのではなく、キラリと光る強みを持つ企業、産業がクラスター化し変化に強いネットワークが構築できる地域をめざしていくべきではないかと考えております。
 「スポーツ」の視点では、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールド・マスターズ・ゲームズとスポーツのビッグイベントが目白押しです。これを契機に、スポーツで一人一人が健やかになることはもちろん、地域、経済も元気になるという文化を関西に根付かせたいと決意しております。
 また、この4月に正式立候補がなされ、誘致活動が本格化しております万博につきましては、大阪・関西で開くことの意義・魅力を世界の多くの方に理解していただく必要があります。まずは来年のBIE総会で誘致を勝ちとれるように、大阪府、政府、経団連などと連携しながら、関西経済界として全力をあげて取り組みます。また、政府による制度設計が進められている統合型リゾート(IR)については、どのようにすればIRが関西の発展に最大の効果をもたらすのか、どのようにすれば負の影響を小さくし、人々の不安に対応することができるかをしっかり考えてまいりたいと思います。
 以上に申し上げた取り組みを実り多いものとするためには、政府、自治体、さまざまな経済団体との連携を深めることが欠かせません。多くの力を結集して、政策実現のための実行力を高められるよう、連携・協力のウィングを広げてまいりたいと思います。また、全ての企業の総意を体現するため、会員を増やし、中堅・中小企業のみなさまにも幅広く参加いただけるようにしてまいりたいと思います。
 私は誠心誠意・正々堂々の精神と無私の心とが大切であると考えております。これからも万事に精魂を込め、夢と希望にあふれた活力のある関西の創造をめざして精一杯取り組む覚悟でありますので、是非ともご支援を賜りますよう重ねてお願いを申し上げまして、就任の挨拶とさせていただきます。

以  上